SSブログ

How dare youな少女の叫びに思う [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 ちゃんとした大人ならば、こういういたいけな少女の切実な叫びにはきちんと耳を傾けるべきだろう。ただ、もう耳も心も汚れてしまった身としては、こうした少女の切実な叫び以外に手法を持ち得ない大人たちへの苛立ちが先に募るのだ。
 同じようなことを彼女の年頃から思っていた私とすれば、結局この30年間、日本も世界も、全く進歩しないしてこなかったと言うことなのである。そう言ってしまったら今の日本のリベラルには人非人扱いされるのだろうけれども、その間、肝心の理論は、左派、リベラルこそがこの子たちの期待に応えて来られなかったのである。
 もう少し踏み込んで言えば、人間の理性ばかりに目を向けて欲望と言うものに、そしてまた資本というものがその欲望を使って回転する内在的な論理に一切目を向けなかったこの恥ずかしい知と観察力の脆弱性を恥じるべきなのである。理性ばかりを語って、現実がそうならないことへの苛立ちを募らせ、仮設した敵に向かってぶつける度合いが年々ひどくなっている。それもこれも、こんなか弱い女の子の声を借りてより他に主張ができない大人たちの力の弱さのほうに、いま最大の問題があるのだ。
nice!(0)  コメント(0) 

西武強し。 [春秋庵-日々の消息を語る草庵-]

強かったなぁ。遊星と浅村が抜けてとてもとてもと思っていたが最後はソフトバンクに比べて明らかに体力の差が勝っていた。

西武8・5差から逆転V 雄星、浅村、炭谷移籍も21年ぶり連覇 打線爆発、ニール助っ人タイ11連勝
nice!(0)  コメント(0) 

ラグビー熱に思う阿修羅・原 [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

これだけラグビーワールドカップが盛り上がっているのだから、誰か阿修羅・原のことを書いてくれないかなと思っていたが、フライデーがうまいこと書いてくれていた。いろいろあって、いやありすぎて、最後は郷里に戻って寂しく息を引き取った、私の故郷の英雄。こういう人生を寂寥に思う。
nice!(0)  コメント(0) 

「いだてん」とカタルシス [観趣庵-詠聴に遊ぶ草庵-]

 「いだてん」を見て、面白いのに大河ドラマとしては何かがない、と思い続けていたが、ようやくピンと来るものがあった。カタルシスがないのだ。
 大河ドラマがこれまで作ってきた、勧善懲悪でもいいし何でもいいなら自分が何かを相手に投影できるようなイメージになり切れないのである。下世話な例えだが、織田信長を大河で見て月曜の上司が急に強権的になっていたり、西郷隆盛を大河で見て急に人格者になっていたりするようなものがないのだ。
 だからといって「いだてん」がつまらないドラマではない。脚本もよく練られているし、豪華出演陣の演技はひとつひとつ、面白さもあり味わいもある。ただ、カタルシスがない。
 フェイスブックやツイッターで盛り上がる人は多く、論戦論破は相次いでいるが、SNSにおいて論争に勝利しても残るのは疲弊感のみである。勝利がカタルシスに結びつかないのはたぶんこれからの文化の問題の一つ、物語の疲弊という文化的課題のひとつのはずだ。「いだてん」はきわめて現代風にできていて面白いのだが、カタルシスがない。コンテンツに高揚感が失速しているというのはデジタル時代の新たな、そして最大の課題なのではないだろうか。
nice!(0)  コメント(0) 

日韓関係の「常態」を想う [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 日韓関係というものは、黙っていれば、つまり何もしなければ大体このような状態になるのである。それがこの文で言いたいことだ。このような状態こそが「常態」なのである。
 そのことを踏まえた上で、このそれよりも悪い状態を避けようという努力が日韓両政府によって行われてきた。それが朴正熙政権以来、日韓基本条約に基づいた日韓の国交であったのだ。現在の悪い状態は、「常態」がもっと理想的であるという誤謬を信じてしまった日韓両政府によってもたらされたものである。率直に云えば、西洋近代社会システムのようなかたちでは、両国は仲が良くなることがもともと難しいのである。
 近代になる以前から、韓国(朝鮮)は日本のことをある儒教的な秩序いわば徳のレベルにおいて劣位にあるものとみなしてきた。その構造が現在も機能しているうえに、植民地支配における加害者と被害者という関係が上塗りされている。一方日本としては、そこまで華夷秩序の序列において韓国という国家を見ることに関心がないものだから、なぜ韓国がそこまで怒るのかもわからないしわかったとしてもその解決方法を提示することが難しい。上下関係を必死に見たい韓国と、本来はそこまで関心がない日本というのが基調にあり、そこに、近代の支配者と被支配者という構造から、日本側も韓国側に対して優位に立とうという意識が重なったものだから、事情はかなりややこしい。
 日韓の場合、あからさまな人種差別的な意識を持って行われた植民地支配と異なり、日本はいわばのんきに韓国を植民地支配し支配しつつ、そこで優劣論や同祖論を展開してきたという経緯もありそもそもこの問題に対する熱量が違う。今回の貿易管理上の措置も日本からすればそんなに大した事ではない、という理屈になる。しかしながら韓国にとってみれば実害以上に、そもそも徳のレベルにおいて劣位にありかつ加害者でありながらいっこうに反省の姿勢を見せない野蛮な日本が、上位にある韓国に向かって信用ならない国家であるというレッテルを貼り付けたことが許せないのであろう。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

「民放のNHK」のNHK観 [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 久米宏がNHKに生出演して、NHKは国に首根っこを抑えられているから民営化すべきだと言う話をしてそれなりにネットで評判になっていた。NHKは昨今政権に偏向報道を余儀なくされている、という不満がある人にとっては溜飲が下がる話に違いない。
 長く放送に携わっている人間から見ると、この久米宏の喋り方は、何とも言えず、古き良きTBSの物言いだ。TBSは長らく、民放の中では放送の公共性を最も担う放送局であるという自負が強かった。報道のTBSであり、ドラマのTBSであり、エンターテイメントのTBSであった。よくも悪くもTBSにはラジオ東京から出発して戦後の日本の放送特にテレビのあり方を開発してきたという自負もあり、いわば、「民放のNHK」として、NHKなど存在しなくても10分自分たちだけで放送の公共性になっていけそう自信を持ってきた過去があった。
 もちろんそれにはそれなりの実績も伴っている。後にテレビマンユニオンを作ることになる萩本晴彦、村木良彦、今野勉らは言うに及ばず、ザ・ベストテンも作りながら名作と称される「岸辺のアルバム」を演出した鴨下信一、ハノイからのリポートを出したニュースコープ等々、十分その名に値する実績もあったのだ。
 しかしそのようなことをいう人は今はTBSにも少ない。何故かといえば、TBSは、1995年のオウム事件の時に明らかになった、放送前に事前に編集VTRをωオウム真理教のメンバーに見せていたことが大きな傷となったからだ。日本の放送局には多かれ少なかれ放送倫理にもとるような事は過去何度もあったけれど人の命に放送倫理が関わった事はテレビ朝日のアフタヌーンショーのヤラセの一見とこの事件だ。ニュース23のキャスターだった筑紫哲也は「TBSは死んだ」とまで述べた。そこには「民放のNHK」の気概はなかった。
 その後もTBSはいい仕事をしているが、NHK批判は影を潜めた。そのような批判では、TBSの歴史はどうしようもなくなったのだ。そのどうしようもなくなったTBSの歴史に実直に向き合って仕事をしているたくさんの人がいることも事実である。TBSのいい仕事を否定するつもりもない。しかし、昔ながらのNHK批判をTBSの口から聞くとき、あのオウム事件の影がよぎる。歴史を忘れたかのように軽く口を開く人は、まだ他にもいる。
nice!(0)  コメント(0) 

元号とグローバリズムと [道心庵-迷いに導を探す草庵-]

 我が家の近所の商店街には、「祝 令和」の文字がまだ掲げられている。近代に入って、初めて崩御を伴わない改元だ。一種の祝賀ムードになるのは自然のことだろう。
 この改元が、初めて日本古典の典籍から作られた元号であることも、大きな意味がある。万葉集である。とはいえ、こちらのほうは、何とも中途半端な終わり方になった。出典は万葉集とはいえ和歌から採られた、つまり日本語から採られたものではない。大伴旅人が、奈良の都を離れて太宰府に「左遷」とまではいわないが流謫の思いを少々抱えていたであろうさなか、遠の宮廷の文人たちが集い梅の花を愛でた三十二首の序文にあたる。つまり漢文の部分である。
 そしてすでに各所で案内されているとおり、この序文には先例がある。江戸時代初期の学者で国学の始まりでもある契沖は、『蘭亭序』に倣ったものではないかと推測しており、確かに『文選』では「仲春令月、時和気清」の文字がある。さらには後漢の時代の張衡には『帰田賦』という詩があり、同じ一節があるという。いずれにせよ、この序が中華の思想から独立に書かれた、というのは少々無理がある。
 だからといって、いい悪いという話をしたいのではない。これが中国の漢籍から独立した日本古来のもので中国の文化支配からの脱却だ、と主張するには無理があるし、一方で、中央政権から遠ざけられた旅人が中国古典の背景まで深読みし政権批判のコンテクストを書いたのだ、と読むことも、それぞれの政治的立場を主張するという目的ならかまわないけれども、今後の日本にとって何が残るのかにはあまり意味のない議論だ。大事なのは、浮かび上がってくる”日本”の姿のほうだ。

 先に答えからいえば、日本にとって歴史的に最大の問題は、グローバリズムとナショナリズムをどこでどうどのように折衷しながら、日本の国のかたちを維持するか、ということである。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

平成の頭と終わりを紐に締め [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 平成の終わり、そして令和の始まり。言祝ぎには相違ないが、この三十年を簡単に振り返れば、何か始まったようでいて、そして何も始まらなかった時代だった。平和な時代ではあったが、凡庸な時代といえなくもない。貶すつもりはなく、若き日に平成の始まりを見て、老境を垣間見る年にその終わりを観望する苦しみと重みがすっかり骨身に染みついているからだ。
 多くの振り返り番組が伝えているように、平成の始まりは何かの断絶と変化とともにあった。昭和という時代はそれほど日本人に重く、そして戦争の記憶とそこからの回復という質感がのしかかっていたが、それが終わるという重さを昭和天皇の進み行く病状と崩御に積みおくようなものであった。その衝撃は大きかったけれども、しかし、新天皇の即位は新たな時代の到来でもあったわけだ。
 それは事実、として続いてきた。6月の天安門事件は、人民解放軍による鎮圧によって民主化中国をもたらしはしなかったけれども、しかし、かの共産中国が別の胎動をはらんでいることを伝えた。10月のベルリンの壁の崩壊は、何よりも、東西冷戦という戦後50年にわたって世界の基本構造であり、そして核戦争数分前という布告によって重苦しく人々の意識を抑圧してきた構造が壊れたわけだ。
 冷戦構造が崩壊し、核戦争が遠のいて、現実になったのは平和だけではない。何より、「自由」だった。自由主義社会が社会主義社会に「勝った」のである。このことは、単にイデオロギーとしての勝敗にとどまらず、まさに「自由」を謳歌する時代がやってきたことだった。人々の価値観やモードも自由になっていく。プリンセス・プリンセスがガールズバンドの常識をぶっ飛ばしてベースラインから曲を始めても、そしてもちろん、尾崎豊が夜の校舎窓ガラス壊して回っても、すべてが、その数年前から胎動していた「自由」への渇望が噴出していた。
 「自由」とは、何とも難しい概念である。

続きを読む


nice!(0) 

ふるさと納税というゲーム [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 ふるさと納税に総務省が文句を言っている。本来の趣旨とは違う、ということだ。
 そもそも納税、住民税の納税は、自分が住んでいる自治体に納付するのが本来である。
 地方公共団体の行政を「サービス」と呼ぶのは本質的にはどうかと思うが、「住民サービス」という言葉も根付いてきたので今日はそう呼ぶことにしよう。その意味でいえば、住民税とは住民サービスの対価である。もちろん対価といっても、そこは公共団体なので、自分に直接返ってくるサービスもあれば(日常的なゴミ収集業務とかはそうだろう)、自分というよりは共同体全体に資するサービス(教育などがそうだろう)もある。しかしいずれにせよ、自分か、自分が住んでいる自治体というコミュニティに対してのサービスを支えるのが税金である。
 ふるさと納税は、この原則から外れる。外れた以上は、具体的な住民サービスとは異なる、各自治体によるサービスの”努力”を促すことになることは理の当然である。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

それでも、貴ノ花の味方 [随思庵-徒然思いを語る草庵-]

 私は、何があっても貴乃花の味方なのだ。
 今回の退職騒動は、もちろん相撲協会にも多くの非があるのだろうし、そこを追及することはしてほしいと思うけれども、相撲協会も組織である以上、組織の鬱屈というものをある程度は抱えざるを得ないのであって、そこに個人の純情をぶつけても、解決策は見いだせないことがある。これは組織が悪で個人が善だ、と言ってしまったところで、人は社会を形成しなければ生きていけない以上、解決不可能な問題で、そこに抜本的な解決を求めようとすれば革命しかなく、そうでなければ折り合いをつけていくしかない。その、「折り合いをつける」というのもけっこうな勇気なのだ。
 そして貴乃花の今回の振る舞いは、いささか子供じみてもいる。「告発が事実無根だと認めなければ一門への所属を許さない」というようなことを誰かが言ったのは事実なのかもしれない。ここまで関係がこじれた以上、有形無形の圧力と受け止められるようなことがあった可能性も極めて高い。だが、それをもって、自分の良心との闘いの末に退職を決意した、というストーリーが美しくみえるほど、相撲協会が悪人なわけでもないというのがいまの状況だ。ただただ、断絶の溝が深く、貴乃花自身が協会に対して己の立場を語ったこともなさそうだ。

 だからこそ、である。私はあくまで貴乃花の味方だ。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。