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7年かけてラ・カンパネラ [春秋庵-日々の消息を語る草庵-]

日曜日に放送していた、TBS「さんま・玉緒のあんたの夢かなえたろか」で、リストの「ラ・カンパネラ」を弾く佐賀の海苔漁師、というのが出てきた。なんでも、ヒマさえあればパチンコに行っていたのを奥さんに止められ、ぼうっと家で時間を持て余していたところ、フジコ・ヘミングの「ラ・カンパネラ」を聞いて驚き、楽譜も読めないのにネットのピアノロール動画で運指を覚えてただただ7年、なんとひととおり弾けるようになったという話。

いろいろ、面白い話だ。なぜ田舎の海苔漁師が突然ピアノを弾くことになったのかといえば、奥さんが音楽教師であった、ということとか、わずか10分弱のVTRにするにはもったいないネタだった。どうやって運指の方法を学んだのか、とか、聞きたいところは山のようにあったが、大事なのは、こうした「いい話」を消費させるのではなくて、人を励ます話に仕立てるというのがこれからのマスメディアの基本なのではないか、ということだ。

どうもワンパターンに番組が作られすぎている。スタジオで視聴するゲスト出演者たちも、単にお客さんと一緒になってネタを消費しているだけだ。しかしそれではネットコンテンツに負けてしまう。いまだに多くの人がパチンコに足を運んでいる。田舎の大人の道楽といえばそれぐらいだ。そうやって日常の憂さを晴らすことが悪いことではもちろんないけれども、しかし、人が何か充実するという方法もある、ということを見せていくのが、これからの「放送倫理」になるのではなかろうか。

それにしても、7年かけたからといって弾けるようになる曲ではない。もともと、天才だったのだろう。フジコ・ヘミングが「漁師にならなければよかったのに」と言っていたが、人の世はほんとうに面白い。
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